2015年04月27日

カエル男、DC3






「カエル男」中山七里:著 宝島社文庫 も二度目でした。でも前回は多分「災厄の季節」の題だった時でしょう。エゲツナイ場面が多くて困った本でして、どんでん返しのどんでん返しには興味が向かなかったけど、今回はじっくり味わいました。読んでみると味わうというほどではないか、とも思いました。どんでん返しが読めてくるんです。でも面白いのは確かです。エグイ派ミステリーの入門編でしょう。それにしても刑法三十九条はスゴイ。私自身異常そのものかもしれない。

DC3の模型を片瀬さんが作って見せてくれています。プラモケイだけど大分アレンジして、自分で部品を造ってしまい、リアルに仕上げています。このDC3は2500mまでしか上りません。気圧装置が無いからです(大体が輸送機)。でもすごいのはデザインです。どじょうの様な流線型、それもドンクサイ流線型。このノロマチックな空力抵抗の形態が初期モダニズムそのものに見えます。片瀬さんもこの期の車のデザインがお気に入りだそうで、意気投合したわけです。この模型が欲しかったんです。ソンデ、シトローエンのDSの形態的魅力にも惹かれているそうです。そーです。DSは通称ガマガエルなんです。カエルの形態もモダニズムそのものですね。自然界のデザインを拾えば本物のアナログのモダニズムなんです。  


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2015年04月18日

用心棒3



「凶刃」用心棒日月抄 藤沢周平:著 新潮文庫 がお仕舞いです。3は公式には用心棒ではありませぬが、役回りは正に藩の用心棒でした。正義は勝つ。小さな頃からの剣友が体を毀していることへの心配から始まるこの凶刃。用心棒の始まりから十数年の後も変わらない矜持の深い信念で生きるべきだという藤沢周平が好きです。今時こんなのは我々の世代でも廃れているのでしょうね。
 江戸が文章で精緻に描かれていて気持ちがいいです。上野、本郷、芝辺りは素晴らしいです。

  


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2015年04月15日

ナミヤ雑貨店とか・・・



「ナミヤ雑貨店の奇蹟」東野圭吾:著 角川文庫 アマゾンで他の本を注文していたらこの本の紹介を読んでしまった。衝動買いです。読んでしまいました。泣けるって書いてあったけど泣けませんでした。でも面白かったタイムマシンがね。作家ってエグイのを書いていてもホントは純です。



「昆虫はすごい」丸山宗利:著 光文社新書 の二度読みです。この類の本で二度読みは始めてでしょう。前に読んだときに、ボーとして読み進んでしまった箇所、目だけで字面を運んでしまったところがあったんです。で今回はフーン、そういうことかなー?。概論としてとても優れた、そして読者に近い文体表現に感謝しました。テレビでも視聴しました。私が歳を重ねた故か、この地球の不思議さが今になって面白く見えてきました。サイエンスは地球にあるんですね。



「ARTS & CRAFT IN SHIZUOKA」に今年も行って来ました。結局、陶芸の所で右往左往している訳ですが、惹かれる作家は毎年同じです。



色形を自在に操れる人です。完璧にも近い作品です。でも買ってきません。買ってくると際限がなくなるから。そんな金無いし。本当に欲しいものでないと意味がないのです。狙った形の茶碗、花器は自分で作るしかないのです。解かっちゃいるんだけどね。



この人も造形や表情に特別な個性を発揮しています。モダンな形と乾いた世界のオーラを発散しています。オリジナルという点で非常に惹かれます。



「横須賀美術館」にK2と弥次喜多でいってきました。前面道路からのお決まりのショットです。後ろは東京湾。潜水艦が泳いでいました



ホールから穴の空いた天上を見上げる



天井とガラス屋根の間を敢えて見せる。



屋上。歩行部分は手摺で仕切られている。もちろんガラスの屋根で覆われているからデース。



ここも屋上。妙な現代的空間。落ち着かないのは何故か。所在?
展示中の前田昌良の彫刻オブジェはセンシティヴな遊びに共感しました。イイデスネー。展示作品のなかにも「あー芸術」て叫びたくなる作品が溢れていました。優れた美術館でした。


  


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2015年04月05日

用心棒シリーズ



「刺客:用心棒日月抄」藤沢周平:著 新潮文庫 読み飽きないシリーズです。江戸でのその日暮らしの浪人の生活が何故か身に迫るものがあるからでしょうか?誰に仕えるものでもないが故の自由であり、ギリギリに生きている実感のみで日が巡り微かな希のみで過ごすのだけれど、それでいいのだとノタマウ。でも殺されない程の剣術の強さ。これだね!娯楽の極致 
 まだ続編があるのだ。  


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2015年04月02日

木内 昇



「茗荷谷の猫」木内 昇:著 文春文庫 を読み終わった。もう一度読み返したくなる本でした。しみじみ読みました。表紙の猫のようにのっそりと読みました。この表紙の画はすごーくいいです。強調する時には伸ばします。うーんまいじゃんとかね。藤沢周平の物語を読むと、情景が文字、語りの廻し方に気付かずに、そのまま頭に描いて、ずんずん映ってきますが、木内昇さんの文体は字面や音の響きが美しく、それを噛みしめてから情景に入っていきます。その情景も、ある部分では日本画のように雲で覆われてピントは定かではありません。朦朧体です。でもその描く朦朧体の情景こそ、まさに日本なのです。九編の短編で明治から戦後、江戸から東京へと町が何かの情を繋ぎながらも、失われていく風情と云うものを描いています。久々に日本を描く作家を読んだと思えました。素人でも「名作だね」と云える本でした。またゆっくり読もう。  


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