2017年09月30日

今野をまた



「スクープ」今野 敏:著 集英社文庫
自然科学の間にこの今野を入れました。典型的な人間たちが、典型的な背景で、典型的に行動します。だけどテレビとおなじ(黄門様)なんだけどもっとずーっと面白いんです。読んでみなけりゃ判らない。この設定では、この登場人物でなければ、とか読者が自然に要求している人間が要求している風に振る舞うんですね。読者は今野に読まれている。今野を読む読者はこんな人間が好きなんだ。まあ気持ちよく操られているんですね。操られの快感です。こんなことはあり得なくても3人(布施、黒田、持田)は何処かに居るかもね。いま「クローズアップ」です。  


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2017年09月21日

ばった



「バッタを倒しにアフリカへ」前野ウルド浩太郎:著
このところ恐竜、昆虫やら地球の自然科学のブームに押し流されて、ミーハーになっています。何が面白いのか解らないけど「へー!」っていうのが多くて、いままで何を学んできたんだろうっていうのが、実感です。この宇宙、地球の不思議さと自分の命の儚さがとても意味あるものに感じられます。小さな虫、草そして水。地球って奇跡なんだと、そしてこの宇宙に同じ地球は無い。諦めずに来年も咲きましょう。但しこの本からはバッタの生物学的記述は読めませんから、兎に角アフリカでの悪戦苦闘のドタバタを他者のケガを思う存分たのしんで、涙してください。京大白眉は鼻の奥にツンときます。



「古生物たちの不思議な世界」土屋 健:著 田中源吾:協力
ついでにとは失礼なんだけど、恐竜の前の生物たちに触手が動きました。スピッツの歌にオパビニアっていうのが出てきて、なんじゃいそれはっていうことでWIKしたらこの古生物だったんですね。この時期の生物たちの未完成じみた滑稽さに驚いて仕舞いました。中生代の前の古生代の紀、カンブリア紀等の名前が面白ですね。なぜこんな瀬物に進化、変化したんだろう。つまり、この人間という生物も後の時代になれば滑稽さに笑われるほどの生物かもしれません。化石をみたら笑っちゃうかな?でもあと、百万年くらいで滅亡らしいね。盛者必衰の理を表す、つーこと。
  
そろそろ、頑固な刑事ものも読みたくなりました。森見、米澤、川上、本川、丸山さんを読むって今的なんです。  


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2017年09月15日

ほのぶ



「真実の10メートル手前」米澤穂信:著 東京創元社
太刀洗記者の短編集、6編、10メートル手前で察すること、行き過ぎた正義、心中の形?何が名誉、先走りの優しさ、極限の人間、等が語られている。日常に潜む感情と極限での感情の溶け合わない存在、思いが及ばないもどかしさ、普通は存在していない日常、存在しているかの共同幻想。言うべきこと、言わなくてもいいこと、言いたいこと、これが全てです。ほのぶはずばずばと太刀洗記者を使って、なるほどと読者に頷かせます。つまらないミステリーは言うべきことを言わないでおいて物語にしてしまっているのが多すぎます。あそこでチョコと一言言っておけばこんなことにはならなかったってのはミステリーではない。  


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2017年09月11日

アルチンボルトと谷口



芸術新潮の7月号がアルチンボルトの特集なんだけど、谷口も組んである。ハプスブルグ家、神聖ローマ帝国故のアルチンボルトなんだけど、このハプスブルグの時代が世界史及び世界というか地球グローバルの原点なんだとつくづく思います。世界とはこんなもんだぜと博物館を作って、収集して、見せびらかして喜んで、世界を征服したと喜び、4大元素とかいって世の摂理まで習得したかの思い上がりの絵なんです。しかしですね、この博物的学術も捨てたもんじゃなくって、後の吾らの役に立っているんですね。面白いことです。無駄と言えば大いなる無駄でした。歴史は繰り返します。絵そのものには全然惹かれません。惹かれるのはこの谷口やBD,メビウスですね。もうたまらなく色彩や線に魅了されます。AKIRAの大友もジブリも惹かれますが、重力のない、時間の止まった景色のメビウスには幻想の極みが見えます。若いときから今まで、これを追い続けているかもしれないな。




岡部本陣なんです。
  


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