2015年06月18日

周平の伊之助Ⅱです



「漆黒の闇の中で」藤沢周平:著 新潮文庫 を「消えた女」の次に読んでしまいました。今度は巷の闇ではなくもう少し上層部に棲みつく悪を、危ない橋を渡りながらメスを入れる話。人が生きている所全てに、悪の華は咲き、気が付かぬうちにちょっとしたことで蝕まれていく。伊之助はその悪に対して敏感なのだ。世の中のちょっとした変に気付かないと落とし穴に落ちるのだ。
 表紙の画の透視図が変です。気になっています。  


Posted by 新茶 at 10:08Comments(2)

2015年06月16日

消えた女



「消えた女」藤沢周平:著 新潮文庫 を読み終えた。気になっていた、伊之助が読みたくなった。どういう趣向が版木の彫職人を生み出したのか判らなかったので、知りたくなったけどそんなのは知れるわけがないです。浮世絵との絡みは終わりころになってようやく登場します。それにしても400余のページをこの消えた女の一項目で一気に読ませるっていうのは素人からしてもスゴイ!というしか有りません。そんなのアタリマエジャンっていわれそうですが、読めばわたしの云わんとしていることが実感できる筈です。自分が時空を超えてこの町で生きているきがします。途中に緩みなど挟まないで、突っ走ります。彫職人が十手や手札を持たずに事件を探る。これは正しくハードボイルドの私立探偵なんです。なんの保障も無いまま自由に探る。これこそ藤沢周平が目指したものかもしれないって、解説の長部日出雄が解説に書いていました。まあ藤沢周平って小説の職人です。旨過ぎてため息が出てしまいます。終わりなんて典型的なジワー!なんだから。  


Posted by 新茶 at 07:51Comments(0)

2015年06月12日

浅田次郎の椿山課長



「椿山課長の七日間」浅田次郎:著 朝日文庫 を読みました。浅田節満載ずるいくらいの涙の嵐、なーんちゃってどす。死んでしまったけどまだ其方には行けない魂が、現世で違う人間となってやり残したことをやる物語です。この発想自体が浅田の家族とかひととの繋がりだとかに対して一過言あるんだなーてなことが判ります。働き過ぎで死ぬサラリーマン、交通事故で亡くなる少年、誤射で亡くなるやくざの親分この三人がどんな人間に成り代わって、この与えられた追加時間に何をするのかが、読んでのお楽しみ。どういうわけかこの三人がからんでくる?いや絡んでいたんですねー涙と一緒に面白いですよ。エー!ありえないを繰り返すけど、傑作です。
  


Posted by 新茶 at 16:33Comments(0)

2015年06月08日

周五郎と虫



「楽天旅日記」山本周五郎:著 新潮文庫 
お気楽に読めて、夢枕獏を読んだかの様でした。勿論楽天ですがその奥にはユーモアに隠れた哲学が覗きます。世情に疎い世継ぎの筈のバカボン若様が側室達の陰謀で滅せられるのを如何にして切り抜けるのかが、バタバタ喜劇で描かれる。周五郎のバタバタやカオス的、有機的人間の渦は、季節のない街で描かれるように、人恋しくなる温かみが満載です。



事務所のガラス窓にいた象虫?甲虫類です。背中に白い新撰組みたいな縁取り、口が内側に曲がっている?



下から見ると下肢の付け根が赤い。こんな風に詳細を眺めたのは小学生だった頃から50年以上経つ。どうしたら名前が判るのだろう。そして、この虫はどうしたらいいのだろう。
  


Posted by 新茶 at 08:22Comments(0)