2017年04月28日

4月28日の記事



「遠い唇」北村 薫:著 角川書店
前の作品の登場人物が再登場します。北村らしく日常のはてな?がジワジワと解き解れていきます。でもちょっとした日本的なる素養が必要なようです。国文的なのかな?優雅です。インパクト薄いけれど文字や言葉に魅了されてしまいます。離れがたい文学の時間と空間です。図書館に返却してきます。次のひとが待っていると思います。「去就」まだかなー。  


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2017年04月26日

菊池寛



「菊池寛」ちくま日本文学全集 筑摩書房
安野光雅の表紙。花札のボウズ。目次の最初が「勝負事」。もうほんとに的確な読者の気持ちの操り方です。ドラマの典型。どの編も面白くてうーんと唸る。あとがきの井上ひさしのいう涙の谷の根なし草の心はいとも簡単にこの作家の話術に絡み取られてしまい、寸時もおしまず本を携えてしまうのです。芥川の哲学的に比べれば下賤ではあるけれど、ここにはここの、崇高な動物的人情も映し出されているように思いました。恩讐の彼方に、父帰るはたしかに面白い!  


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2017年04月22日

芥川龍之介



「偸盗、地獄変」芥川龍之介:著 新潮文庫
北村薫から六の宮で、平安貴族の成れの果て、あるいは、ひとの極限も人であることをどこまで書けるか?みたいな菊池寛とのレースです。ミステリー仕立てでないのが芥川の天才的文章であり、素人を煙に巻いてしまいます。こうしてじっくり読むと、やはり文学です。雲の高みで書いています。短編集で何度も読んだ筈だけど、小さなちょっとしたシーンは見逃がしています。こころの推移が日本的なんだと思いました。どの編も重たいです。往生絵巻は宗教です。南伸坊の表紙は素晴らしいの一言で、この表紙が欲しくて戸田書店に行きました。
 次は菊池寛だぞー! この芥川の前に「海の見える理髪店」を図書館で予約してあったのが順番が回って来たとのことで、読みました。次の待ち人がいるので、一晩で読み通して返しました。座敷わらしの荻原浩が過ぎ去ったじょうけいを美しく優しく大事に描いています。ぜんぜん悲しくは無く、ひとの生き様はどんなでも美しいのだと思いました。作家は人の絵を描いている。  


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2017年04月17日

落語 滝田ゆう



「落語 滝田ゆう」滝田ゆう:著 ちくま文庫
滝田ゆうの漫画での落語劇場です。もう亡くなっています。ガロとかで読んだ方もおられるでしょう。あの和服姿で緩やかな風貌でした。絵もよく見ないと何が書かれているのか解りませんが、非常に丹念に自由な線で書かれています。ひとは大凡ボヨヨーンな姿かたちで黒目が見えません。ところがです、この落語の話になりますと全然邪魔にならないどころか、ぴったりなんです。この絵があってこそ話に密着するというか、匂いまでも運んできそうなんです。いやー滝田ゆうは噺家だったんですねー。
 うちの小路は「とおりぬけられます」なんですが、初めて入り込んだ運転手さんはうちの庭でUターンして戻っていきます。まあ標識をばたてませんが、通り抜けられるんです。チョット見ると行けそうにないのかな?この「とおりぬけられます」も滝田ゆうなんだけど解かるかなー?

写真が横でした。ごめんなさい。でした。フフ  


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2017年04月11日

芥川龍之介、菊池寛



「六の宮の姫君」北村 薫:著 創元クライム・クラブ
主人公の学生が卒業論文で芥川を取り上げることから始まる芥川という作家の人間性を知ることがこの本の面白み。と言ってしまえばそれで終わりなんだけど、その過程がものすごく回りくどいながらも面白くて文学的で唸ってしまいます。もうお決まりで菊池寛が芥川に併走するんですがまるで二人三脚のようです。六の宮は読んだことが無かったのですが、探しました。新潮文庫で読もうと思います。菊池寛は何の気なしに読んだので再読しないとこの芥川との比較も出来ません。文壇ってところも異様なところですね。国文の人達ってこんなところに居るんでね。畏れ入谷の鬼子母神です。もどって、主題はおぞましい地獄の絵図のキャッチボールでした。読めるかなー。北村薫って人もすごいもんだ。  


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2017年04月07日

秋の花



「秋の花」北村 薫:著 創元推理文庫
秋海棠の花を指す。棠の字は生まれて初めて見た。そんでこの花は断腸花ともいう。逢えない断腸の思いの涙が花になったということです。亡くなった女高生の庭に咲いていたんです。幼馴染の仲の良かった二人の片割れが死んでしまうのです。途方に暮れるもう一人。で、主人公が謎を解こうと紫円さんと動き始めます。私にとっては珍しく死体登場。まあこんなふうに書くとその辺のミステリーと勘違いされるのだが、その違いは、読めばわかる。極めて文学をしています。だからといってヒケラカシテいるのではなく、そのへんもうまい。もう一つ、「耳食」って単語がでてきました。⦅漢語使いの龍麿⦆叔父さんの言葉です。こんな単語もあるんですね。私への戒めです。六の宮を読もうか迷ったけど、た。高洲の交流センターに在りましたので、借りてきました。芥川をさらーと読んだだけではダメなのかな?



  


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2017年04月05日

春 そして夜の蝉



酷い写真ですが、カマツカの芽吹きです。死んでいるのかと思ったら出てきました。



斑入りの風知草も芽が出て、スミレも咲いています。可憐そのもので愛おしいものです。



不如帰は心配しなくても出てきます。。頼もしい花です。あまり動かさないのが草木育ての鉄則ですね。じっと待つんです。じっと



「夜の蝉」北村 薫:著 創元推理文庫
空飛ぶ馬に続いて読みました。じっくり読む作品です。何のことのない日常だけど濃いから丁寧に読まないと損しちゃいます。言葉の一つ一つに唸ってしまいましたが、こういうのを感想文で書けと言われたら非常に難しいんじゃないだろうか。読んでいる間中作者と同調いや主人公になって行動し語っているから「わかってくれ」というしかないのである。端末的に面白い部分では、:ラジオの音はしばらく私達の後を追って来た。:高欄付の縁をめぐらした大きな建物は、玉砂利の海に浮かんだ巨船のようであった。:状況の形容が素晴らしい!表紙も慣れるとこれもありなんだね。ゴメン  


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2017年04月01日

空飛ぶ馬



「空飛ぶ馬」北村 薫:著 創元推理文庫
昭和24年生まれの北村薫は同学年です。でも少し若い女性の主人公になって書いています。微妙な心の進展を手に取るように書きます。ちょっとした目配りや所作を文学的に、正しい日本語で描写します。直截には表現しませんだから。あれ?というときも多だ有ります。でもじわじわ時間の啓示で頷きます。すごい人です。もっと前から読んどけばよかったのかもしれません。未だ知らない作家も多分そうなんでしょう。赤頭巾はいいですよ。余談だけど、みやこわすれは天神様が筑紫に流された時「このやさしい花を見ると都を想う物思いを片時忘れることが出来る」といったのでついたという。他にも古典系の単語が出てきて面白いことこの上無しの本です。「夜の蝉」に行きます。表紙はとてもダサイです。当時でも多分。鈴元や早大文学部のスケッチでもいいと思のだけれど。  


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