2017年06月28日

風野



「赤鬼奉行 根岸肥前」耳袋秘帖 風野真知雄:著 大和書房
ある秩序の上の物語が時代劇です。私でも理解しやすい。のでお白洲で江戸口調を呟く奉行のお決まりが読みたくなりました。水戸黄門の印籠とおなじかな?大店鴻巣屋と吉野監物の悪巧みを暴くのがストーリー。金儲けや奉行の失脚をたくらむが、必ずやこつこつと証拠を固める根岸に追いつめられるわけです。地道な作業これこそが年老いた根岸の看板ってことです。
「両国大相撲殺人事件」
関取は藩のお抱えだった。藩の広告塔だったんですね。だから藩の人事の確執や大名どうしの諍いにも利用されていたらしい。上り調子のガタイの大きな相撲取りが殺される。しかし愚弄な策、故の犠牲者である。相撲ファンの根岸は義憤に燃え上がり、バカらしい策に仕返しする。犬の小便とべらんめえ口調である。すっきりはしないけどまあいいか。

防衛庁の大臣発言にもアホらしくて、口が塞がりません。あんなことを平然とマイク使って言っちゃうんですね。本音ですね。いつか、あそこで言おうと思ってたことですね。本当に賢い人間なのか、いや偉くなくても大臣になれるのか、しかも誤解を招く発言とか言っているけど、こちらの誤解か?何処まで行っても間違っているのはこちらですか?あなたの認識の無さの露呈した、まちがった発言だと思うけどなあ。「間違ったことを言ってしまいました、ゴメンなさい。」が言えないんですね。そんで撤回しますで済む政治の世界ってなんなんだ?だから政治家、政治がバカ扱いされるんです。民衆も政治をばかにして、政治家も国民をバカにしている、これが日本。近隣諸国と似てきている。勧善懲悪のお奉行様はいらっしゃらないのかね。  


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2017年06月23日

ゾウの時間



「ゾウの時間ネズミの時間」本川達雄:著 中公新書
前回読んだ北村の「スキップ」っで時間の面白さを読んだけれど、これはもっと現実の面白さでした。そんでアインシュタイン風でもあります。時間は歪んでいる。そんで、生物はいろんなデザインがなされていて、こんなのもあるんだぜ、こんなでもいいじゃないかって主張している。というわけで、地球上の多様性です。枝分かれして行って途轍もなく巨大になってバランスを崩して絶滅になってしまったものも多くあるんです。人間も巨大化して絶滅の危機が訪れそうです。時間は体長の3/4乗に比例する。これはすごい!附箋をしてあるのだ。昆虫、ウニ、ヒトデについても面白く語ってっくれているので眠れませんでした。昆虫の脱皮も驚きでした。生物の教科書ですね。  


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2017年06月21日

スキップ



「スキップ」北村 薫:著 新潮文庫
真理子さんが17才のある日から25年をすり抜けて42のオバサン先生で登場。17歳が42歳の先生を、しかも一人の子供持ちの先生主婦を突然演じなければならない状況です。面白い設定。SFでも極めて時間の観念がここまで集約された設定は出来ない。なぜって、それほど時間を扱うってのが難しいからだ。真理子さんの覚悟が素晴らしい。いや北村の哲学なんだろう。文中の至る所にこの時間に対する哲学の言葉が散りばめられていて、北村の精神の実像が少し見えてくる。今、本川達雄の「ゾウの時間ネズミの時間」を読んでいるけど、やはり時間です。この難解な時間というものに挑むと迷宮に入り込むことになりますので、この辺にしておきます。でも一番面白いのかもね。  


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2017年06月11日

逆風の街



「逆風の街」みなとみらい署暴力犯係 今野敏:著
一日、読み通してしまいました。ノンストップに近くて、夜中までには終わりました。高利貸しの取り立ての事件からやくざ内への潜入捜査の事件への発展で結構血腥い展開の趣かと思えど、結局は警察というシステムと人情を持った人間との鬩ぎ合いをどう捉えるか?ですね。一口で面白くても理不尽な潜入捜査でした。本当にこんなことってあるのかねー。政治というより単にトリックにすぎないと思うんだけど。フィクションでは面白いのだ。
 文科省の件もなんか言葉や文字の捏回しで、恥ずかしく逃げまどいながらも公然と道を歩く恥ずかしい成長しない大人たちです。ギルバートが恥を知らない何処かの国を指摘していましたが、この国も同じ様な人間達が日本国の政治の世界で人前に出てきています。恥ずかしくても人前に出てくるのが、似非芸能人と政治家なんだね。  


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2017年06月10日

また今野敏



「禁断」横浜みなとみらい署暴対係 今野敏:著
とうとうこちらまで触手が伸びてきました。麻薬とやくざです。このダークな世界は敬遠していたのです。今野敏に触れると際限なく滑っていくのではないかと不安だったので、ブレーキを掛けていました。でも読むと面白いことこの上なしです。監察官も出てくるけど、暴対係に行きすぎはつきものなのですが、その監察官とのやり取りが今野敏特有の語りで面白くなります。人間関係が全てです。次の「逆風・・・」まで読もうと思っている。
 みなとみらいは時間や過去の軌跡を持たない人工の造られた街。その造られた街と侠客という古い人間が生きていた世界との鬩ぎ合いを警察という組織を通して今野の云わんとしているヒューマニズムを語っているのです。人間は地球をいじくっている。人間同士もね。67回目の夏になる。昨日プールで久々に泳いできた。700m辺りがガマン。ゆるく泳ごう。副鼻腔の水がきれいに出てしまえば、ズット昔の自分に戻れる気がする。私も過去に惹かれている。  


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2017年06月06日

街の灯



「街の灯」北村 薫:著 文春文庫
何てうまいんだ、と云わせる。この前読んだ「水の・・・」は全然わかりませんでしたが(要するに感受性なるものが欠けている拙者故)これは納得ものです。昭和初期のデカタンスを序列正しくも且つ否定しながらもロマンの色を漂わせながら名残惜しく組み立てています。爵位など知らなくていいと思いますが、知れば知ったで面白いものです。皆おなじ人間なのにねー。表紙の画の透視図法のゆがみがに北村薫のヒューマニズムが表現されているのかもしれません。  


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