2013年07月22日

吉永南央

吉永南央

「萩を揺らす雨」吉永 南央 著  文春文庫
おばあさん探偵と言えばミス・マープルだけどこの本の主人公は草さんというおばあさんです。多分群馬の或る都市?の高崎?が本拠地らしい。このおばあさんは75歳だけど、ミス・マープルと違って動きまわるのだ。チェアーディテクティブではないのだ。だから時には老人の徘徊と間違われたりもする。動きまわるうえに秘かに思っている人もある。要するに老人と言われようが人間なのだってこと。眼に映ること耳にきこえたこと触ったこと感じたこと、全てを考える人なんです。こういう風に周りに眼を配ってちょっとおせっかいな人って少なくなった気がするし、関係ない!って切り捨てるけど、なんか味気ないよなって思う。私利私欲の無いおせっかいは歓迎なんだけど、建前の公益とやらの公権は胡散臭いものが見える。
表紙のテーブルの脚が一本足りないような。

吉永南央

親鸞のカット絵:山口 晃
夕刻に堀川を昇る舟だね。綱を引く人夫二人と背景のシルエット。そして民家の明かり。文の中からこの情景を思い描くこと自体、恐れ入っちゃいます。私らだと、まず画けるわけないと否定から始まるけど、画家は描けることを丹念に始めるような気がする。暗闇の水面だってどうして描くの、だし、背景の輪郭だってどんな風に?って思うんだよな。とにかくいいね!です。

土曜日に杉浦邸の調査に行ってきました。下見を含めて調査は3回目です。日本建築の大工さんが洋式の西洋館風を如何にして作ろうとしたか、どうしたら西洋風になるのか、という頭の中を覗いた気がしました。作り手というのは色んなことを鑑みて、試行錯誤を繰り返すのが仕事なんですね。みんなで考えていたんだ。自分と周りの接点をね。昼食のオムライス屋のおじいさんも、しっかり考えて今までを生きてきた風体を表していました。渋い一石なおじいさんでした。巷も捨てたもんじゃない  なんてね。



Posted by 新茶 at 08:24│Comments(0)
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