2013年05月31日
「一応の推定」
「一応の推定」広川 純:著 文春文庫
傷害保険のミステリーなのだ。事故に遭遇して保険が下りるか下りないのか、っていうのを題材にしている。例えば自殺は?てなときは傷害保険は下りません。しかしその死が自殺なのか、否かは調査しないと判明しません。その調査員が執拗に調査するのがこの物語です。人にはいろいろな表面に現れていない事象が山のように積み重なって人生を歩んでいます。どの人も他人が勝手にイメージするものだけで生きてはいません。その山の様に積み重なった行動を調査し、判断を下すのは豊富な人生経験や、人の心の闇をも知り尽くした調査員でないと不可能です。でも行動の何処かにヒントが有る筈だという事。主人公の調査員の地味だけど、冷静な判断力が結果を引き出します。地味で冷静だから感情の起伏など無いのかというと、いや、人一倍情に脆いところが定石だけど、いいです。オススメ本。第13回松本清張受賞作です。
Posted by 新茶 at 16:00│Comments(0)