2011年07月22日
「東京ダモイ」
読み始めたら止まらない本です。私からしたらちょっと前のことなんだって思いましたが、今の若い人達からしたら随分前の話しなんだろうね。シベリア捕虜収容所の出来事とその60年後のミステリーです。ダモイはロシア語で帰還を指す。読後はジーンとして呆然としています。表に出てこない壮絶な過去を持った人達が歴史の中にいたことを思うと、自分の怠惰で安穏な過去が小さく見えます。現在は過去の集積の上に在るんだね。皆それなりに健気に生きてきたんだ。いい本でした。俳句もいい役を担っています。
第52回江戸川乱歩賞受賞作で、鏑木連:著、講談社:発行 です。
第52回江戸川乱歩賞受賞作で、鏑木連:著、講談社:発行 です。
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22:08
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2011年07月18日
「ハナシがちがう」
本のタイトルです。面白かったですね。上方落語の話しです。もう、読んでみろ!って感じでした。表紙のデザインは最悪なんだけど、中身は裏腹。副題「笑酔亭梅寿謎解噺」ですから、少しミステリー仕立でもある。上方落語の話しだから言葉による展開のスピードがなめらかです。関西弁が羨ましい。上品でも下品でもなくチョー下品で馬鹿らしい(当たり前。だから読むのだ)と思ったら読まなくていい。大事な事はその先に有るのだ。ナーダ・イ・ナーダ。著:田中啓文 集英社文庫
今日なでしこが優勝したね。コパ・アメリカのブラジル対パラグアイと交互に見ていました。両方ともPK戦でしたね。なでしこジャパンとパラグアイの粘りに感動!
今日なでしこが優勝したね。コパ・アメリカのブラジル対パラグアイと交互に見ていました。両方ともPK戦でしたね。なでしこジャパンとパラグアイの粘りに感動!
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21:52
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2011年07月12日
俳風三麗花
俳句と三人の女性の昭和初期の恋の話。と云ってしまえばただそれだけ。しかしながら六十才代の男が暇を惜しんで読み続けられる何かがある。美しい文体と文学性、文系コンプレックスの私などを一言でイチコロにさせる上手さです。ジョウヒンです。典雅です、こういう文学も在るんだ。それにしても文書きは膨大な資料を読み通しているんだなあと感心します。私なら、どこにどの資料が入っているか分からなくて右往左往するのだけで一日が終わってしまいそうです。しかもアラスジを考えていたり、ドンデンガエシの為に伏線を仕組んでいたりしたら・・・考えただけで眩暈がしそうです。奥ゆかしい情熱と気品の作品です。三田 完:著 文春文庫
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09:47
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2011年07月10日
あんじゅう
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21:23
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2011年07月02日
粗い石
読み終えました。難解な文章でした。学術書意外は大体読んでいるうちにシーンをイメージ出来るのですが、戒律の厳しい修道士の日記の形式ですから、禅問答風に抽象的言語に置換されているのではないかと思いながら読みました。それにも増して建物を創るという執念には感服いたしました。この時代に石で建物を創るのがいかに難しかったのかも理解しました。主人公ギョームと僧院長が美しい回廊の階段についての問答は象徴的です。「時間が解答してくれます」今まさにこの階段は、回廊は、答えてくれています。美しい光は意図された粗い石とエッジを丹念に削った石工達の賜物だったのです。本物を観たい!。この本を理解するのに芸術新潮の20028月号が参考になります。中村好文氏と木俣元一氏のロマネスクとゴシックの案内は秀逸です。
Posted by 新茶 at
10:11
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