2013年08月30日
「一鬼夜行」
「一鬼夜行」小松エメル:著 ポプラ文庫
明治初頭の妖怪と武士崩れの道具屋のせめぎ合い。なにをせめぎ合う?という所がテーマであるわけで、空威張りです。妖怪も人間も温情には弱い。これがテーマです。こう簡単に言ってしまうと詰まらないのだけれど、この空威張りの丁々発止が剃刀の刃のように鋭利であったりもするのでなかなかスリルがあるのです。妖怪を扱う京極もネチネチと人の心の裏側を暴き出したりで、長距離を走ったりした快感をあたえてくれますが、このエメルという人も違う角度で何かを暴き出します。人間のやさしさですね。
AKTさんがまた、大量に本を置いて行ってくれました。京極も一力も乱歩集も入っています。ワクワクと胸が躍るダンボール箱です。本を読む間はごちゃごちゃに絡んだ現を忘れて戯言に遊んでみます。毎日暑くて適いませんが、少しづつ秋の気配を感じるようです。秋歌(大江千里)の季節です。「知らない声に胸がおどる、」ってとこに胸が躍る私です。
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09:49
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2013年08月25日
絵
節ちゃんの暑中見舞いのはがきと新聞の小説「キノの旅」の挿絵・黒星紅白です。
節ちゃん(画家で、今ギャラリーを自作中)は季節ごとに絵ハガキを自作で送ってきてくれます。我が家の至る所に貼ってあります。抽象画が多いですが、読み取りは極めて見る人の心次第です。今回の絵は夏の草息れだと簡単に読みました。印象派そのものです。命の水と命の緑だけの構成故に夏を謳歌する作者の言葉が見えてきます。ありがとう!。
右は今朝の静岡新聞の子供版Yomoっと静岡の「キノ旅」の挿絵です。黒星紅白さんの絵が気に入ったので、出してみた。青色の巨大な列車です。何か得体の知れない大きなものというのが描き切れていていいです。北国っぽいです。
久々の雨なので雑草を少し抜いた。お茶の稽古にも行ってきた。稽古は難しいけど自分を律することで前進していく気がする。これが無いとただ瓦解していくだけの自分を止める事が出来ない。プールで泳ぐ事もこれに近い。弱いものです。
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16:26
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2013年08月23日
田牧 大和
どこを触ったのか赤くなってしまいました。
「三悪人」 田牧大和:著 講談社文庫
お勧めです。遠山金四郎、鳥井耀蔵、水野忠邦のだまし合い。後に宿敵となる金四郎と耀蔵がタッグを組んで忠邦とだまし合いのゲームに興じる。とても江戸の気骨を見せて粋だけど、恋が絡んで悲しい。文体はいつのまにかラジオでも聞いているかのように、芝居を観ているかのように、淀みなく展開して、アッというまに大喜利を迎えてしまう。して、この文庫本は古本で105円の札が着いている。驚きですね。チョット寂しさも過ぎる。この作者の田牧大和氏は女性でした。うまいね。
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08:44
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2013年08月20日
カメラ
カメラを新しくした。CANONS110なのです。上の写真は履歴でIXYが2台で、次がSX130Sでこれは息子が買ったけど、1眼レフに変えたので私にくれた。IXYに較べて明るいのだけれど、単三乾電池2本は重たいし、減りが早すぎる。機械道具だから自分に合うものなど有るわけがない。で、ニコンのP310が欲しかったのだけれど生産中止で、今はP330になっている。デザインはP310のほうがシンプルで好きだったのだけれど無いのでCANONにした。立体的且つリアルに映ります。しかしです、平面的なベターとした(下手な絵)の方が私には合っているのかもしれない。まあこれもいいとして慣れるのでしょう。
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13:34
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2013年08月19日
ビブリア古書堂4とつむじ風
「ビブリア古書堂の事件手帖4」 三上 延:著 メディアワークス文庫
今回は江戸川乱歩の古書が登場。そして、そのコレクターの恋の足跡。その上、主人公を取り巻く人達の感情の絡み合い。なにがなんだか整理できないけど、少しずつ絡み合った糸が解れてゆく。まあ腹にある消化出来ないものを吐き出さない故の絡み合いでもある。賢い人はなかなか語らないから、凡人は右往左往してしまうんです。あそこで一言語ってくれていればってな事です。ひとつ、どうしても主人公の栞子のイメージが私にはもう少し年齢の高い女性に思えてならない。
「つむじ風食道の夜」 吉田篤弘:著 筑摩文庫
表紙のロゴがとてもいいです。星の意味は読んでいるとわかる。全編舞台は夜を背景にしていると錯覚してしまう。内容が現実から遠く離れた架空の世界を描いているように思えるからだ。記憶や思い出を大事に抱えながら生きている人々。そして全てが詩のように一つ一つの言葉や文が意味を重ねた深い情景を連想させる。全頁に附箋をしたくなる言葉が溢れている。東西南北のちょっとした話は面白かった。登場人物は今では少ない人間達、人種でしょうか。目まぐるしく移りゆく現代には付いて行けそうにもない人間達の共和国かもしれない。ビブリアも情景は似ているね。
近頃物忘れが顕著になって、もしかしたらアルツハイマーの前兆なんじゃないかと不安になってきた。今迄の自分とは明らかに違っていて、脳に繋がらない部分が出てきたように感じる。こうして老化が始まっている事を自覚した次第。
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08:30
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2013年08月13日
記憶:平口さんと盆だな
平口さんが藤枝市の広報に載っていた。平口さんは模型を作るのが上手で知られた人なんですが、その中に軽便鉄道の模型があります。何故軽便鉄道を作ったのか、どういう思いがあって作ったのかは知りませんでしたが、こうして記事を読むと平口さんの思いを覗く事が出来た気がします。情景ってのは日々延々と変わってゆくんですが、その人は情感の深い一ページを切り取って記憶の絵を大事に仕舞っておくんですね。固有の記憶だけがその人のその後を作る。それにしても内容は浅田次郎のメトロを読んだみたいですね。自分の小さかった頃を思い出して一瞬ジーンと止まってしまいました。藤枝市広報8月5日号でした。
去年と同じ盆だなを設えました。私が棚を組み立てる役です。何回か作るうちに部材の箇所を知ることになり、マニュアルの絵を見なくてもスムースに組み立てることが出来る様になりました。年を取るということはこういうことなんですね。体験でなく経験です。迎え火も今夜から焚きます。おじいさんが笑顔で彼岸から体を傾けながら年一回やってくる。私がこの世から消えてもこの風習は続くんでしょうか?この宗教の形も?
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09:45
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2013年08月10日
母と本と山口晃
母が八月八日で満九十三歳になった。祝い事なんだけど当人は美味しいものが食べられることも無い。こういうのもなんだけど良く生きている。私の感情の揺れと志向はとても良く似ている。こんな顔をしているときはこんな気持ちというような判断は的確である。遺伝子である。違っているのは、母は泣かない人で、ガマン強い人です。今でも痛いとは言わないので、困るときもある。病院には入れないのでこの暑い夏を自宅で耐え、お盆を迎える。

「縮尻鏡三郎」上・下 佐藤雅美:著
時代小説の雄、佐藤雅美を初めて読んだ。同級生のAGT君に教えて貰った作者ですが、読んでみて判ったのは、この作家は私にとってはとてもハードルが高いということです。江戸時代というシステムを詳細に提示してくれているので、それを理解出来ないと前に進めないのです。しかしこれを少しでも頭に入れておくととてもスムースなんです。本題とか趣旨をさりげなく語る故に余韻は倍加されます。普通(今まで読んだ時代小説)の倍に時間が係りました。その時代によって社会システムが違えば行動や言葉は意味を大きく違えてしまうかもしれないのですね。題名の読みは「しくじりきょうざぶろう」で武士の腐敗した社会で、武士が如何様に生き抜いていくかがテーマです。でも武士って公務員だったんだよね。今と変わらない所も垣間見える。

親鸞の絵(山口晃)気に入った絵です。モノクロの淡彩。細密でありながら擦れた線が我のハートをくすぐります。躊躇しない構図の想像力は読者に文から受けたイメージを案内させてくれます。すごいことです。
写真が暗い。買い替えの時期のようです。S110はいくらかな?
「縮尻鏡三郎」上・下 佐藤雅美:著
時代小説の雄、佐藤雅美を初めて読んだ。同級生のAGT君に教えて貰った作者ですが、読んでみて判ったのは、この作家は私にとってはとてもハードルが高いということです。江戸時代というシステムを詳細に提示してくれているので、それを理解出来ないと前に進めないのです。しかしこれを少しでも頭に入れておくととてもスムースなんです。本題とか趣旨をさりげなく語る故に余韻は倍加されます。普通(今まで読んだ時代小説)の倍に時間が係りました。その時代によって社会システムが違えば行動や言葉は意味を大きく違えてしまうかもしれないのですね。題名の読みは「しくじりきょうざぶろう」で武士の腐敗した社会で、武士が如何様に生き抜いていくかがテーマです。でも武士って公務員だったんだよね。今と変わらない所も垣間見える。
親鸞の絵(山口晃)気に入った絵です。モノクロの淡彩。細密でありながら擦れた線が我のハートをくすぐります。躊躇しない構図の想像力は読者に文から受けたイメージを案内させてくれます。すごいことです。
写真が暗い。買い替えの時期のようです。S110はいくらかな?
Posted by 新茶 at
09:42
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2013年08月02日
タレーラン&漱石
「珈琲店タレーランの事件簿2」岡崎琢磨:著 宝島社文庫
京都のコーヒー店「タレーラン」のバリスタ美星が自分の周辺に起きる事件を解いてゆく。極めて本当に日常かと言えば、そうでもない誘拐事件も起きてしまうから。でもやっぱりドメスティック。ちょっとした振舞いや言葉の裏、助詞の使い方の言葉に隠された人の心が人の行動、判断の基準になってしまう事が読める。最初から最後までが伏線になるから気が抜けないし、どんでん返しの種になるからじっくり読む癖がつく。それにしても綿密な構成です。愛だ恋だのはもう聞き飽きたと云われる御仁には不向きかもしれませんが、人の心の綾の織りなす輝きは美の原点だろうと私は思っています。どうでもいいんだけど、語りのアオヤマの年齢が二十代だってことを終わりに近くなってしりました。ちゃんと読んでいるつもりだったのにね。だめじゃん!
「芸術新潮6月号」夏目漱石の眼
先日日曜美術館で見た漱石の美術の特集です。漱石の眼は独自でありながら、見るべき観点は本物です。私なんぞが重きを置いていなかった絵画の見るべき視点を教えています。あーあここね、っと頷く次第でした。県立美術館では浅井忠を見れたし、納得した次第です。美術館で残念だったのは「月に秋草図屏風」が展示される前に行ってしまったので見れませんでした。軽率でした。だからこの芸術新潮でみています。銀黒の月、透き通る葉、意志ある蔓の先、そして金箔の背景の絶妙な間の取り方。蔓の先ひとつの為の全てを抱一は描いています。でもね近代美術館での琳派展のときに観ていた筈だけど、人が多すぎてじっと観ていることが出来なかった記憶がある。東博でいつの日か見よう。漱石の装丁はアールヌーボーなんだけど、マッキントッシュに和風を加味していると思ってしまいました。稚拙な故の曲解かも。
Posted by 新茶 at
10:52
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