2014年01月31日

葉室麟



「花や散るらん」葉室 麟:著 文春文庫 を読みました。前回の「いのちなりけり」の続編で、登場人物達が忠臣蔵の事件にどの様に係わり、一体あの事件とはなんだったのだろうか、浅野と吉良の確執は何処で生まれ背景には何が有ったのだろうか、を葉室独自の歴史感で描いています。前回も非常に面白かったのですが、これもまた、それ以上に興奮して読みました。公家と武士の軋轢を底辺に置き、名誉と命そして人への思いが人の生きるべく道だと語っている。登場人物の込み入った絡みに中々付いて行けなくなるけれど、読んで行くうちに自然と判別出来てゆくので諦めないで読み続けられます。今までの忠臣蔵の事件のイメージを大きく変えているところが面白いところです。因みに「花や散るらん」は いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん の歌で女人熊野が遠江の母に合いたいと清水で泣いて詠んだ歌です。人を思う気持ちが人を動かす。葉室麟はいいことを言っています。  


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2014年01月23日

葉室麟と手塚貴晴





昨日電車の中で読み終わった本「いのちなりけり」葉室麟:著 文春文庫です。すばらしく良く出来た時代小説です。綿密に組み立てられていて、時代の背景もこの前読んだ「大江戸釣客伝」と同じ時代だったので興味深く、頷きながら読めました。これは和歌を媒体とした恋愛小説で、「・・・・いのちなりけり」が出てきて西行の小夜の中山の歌も出てきます。雅と武士(古今和歌集と柳生武芸帳)のせめぎあいを描いていたのかもしれない。兎に角、私のこの文より巻末の解説が秀逸なので参考にしてください。

静岡県建築文化研究会主催の手塚貴晴の講演を聞いてきました。確固たる自分の感性への自信というか、時代や風潮を自分の視点を信じて建築に挑んでいる姿勢は、やはり建築家そのものです。「屋根の家」「ふじようちえん」は文句なく人間主体の楽しい正しい建築です。

写真が90度回転してもとに戻りません。観にくいね  


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2014年01月20日

タチアナとゴシック




「タチアナ・ヴァシリエヴァ チェロ リサイタル」を焼津で聞いてきた。清楚な美しい女性ですが、演奏も芸術的でした。シューマン、シューベルト、ショスタコーヴィッチを演奏しました。完璧なリズムと透明感のある澄んだ響きでありながら、熱情や抒情を引き出しています。アルペジオーネの冒頭では胸が熱くなるほどでした。シューマンは拭いきれなく未練がましい思い出をいつまでも引きずっているロマン派の情感をタチアナは「あんたにもこんな気持ちあるでしょ?」てな感じを漂わせていました。チェロだから倍加されるね。ピアノだとここまで引きずれない。ショスタコの二短調はこの現代的不協和音と入り乱れたリズムを崩れることなくサラリといや、強烈なパワーで引きこなしてしまいました。すごい音楽の構成を聴きました。やはり革命児です。

ゴシックの木俣教授のガーゴイル。中山 克の写真にも写っていたんです。ノートルダムです。建築史の勉強で習ったけど、傷みが激しいので取り換えられることは気が付かなかったね。魔除けと壁の汚れ除けは詩情のシルエットでもある。時間を費やした造形である。この樋先の造形ではコルビジェのラ・トゥーレットを思い出しました。

  


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2014年01月17日

内田 樹と中山 克



「街場の憂国論」内田 樹:著 晶文社 を時間をかけてよんでしまった。辛辣な批評で論理的である。誰もがこの国の行く末に一抹の不安を感じているのだけれど一体何が、?と漠然と感じている事を極めて単純に解き解そうと真剣に語っている。僕たち50年代の生まれは同じ不安を抱えているなと思った。つまるところ喧嘩をしても始まらないから、仲良くする方法を探りだそうよ。でもね、グローバルっていうのもアメリカのベースじゃんね、グローバルってのは、個々も大事にしていかないとサイボーグ的国家が数多くなるだけだよってことも理解しました。政治経済はやっぱり苦手です。



僕のお友達(失礼をお許し下さい)の写真家 中山 克 さんの個展が開かれています。藤枝の白子のギャラリー・エスペースでひらかれています。上手いコメントは出来ませんが、白黒の緊張感で光と闇を粘っこく描くことによって見る側の情感まで露わにさせてしまいそうです。怖いですねー。なんちゃって。彼は世界中を歩いているから視点がユニークです。見に行って下さい。  


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2014年01月07日

北 重人



「月芝居」北 重人:著 文春文庫を読んだ。既読の「夏の椿」「蒼日」の作者ですが故人である。平成二十一年に六十一歳で亡くなられている、惜しい作家でした。私より二歳年上の建築家で都市環境設計の人でした。綿密な情景描写を古地図や現場を足で歩いて、書き写すので、時代は違っていてもリアリティーがあり、緊迫感は普通ではありません。だから読むときにはまだるっこくても一字一句を飛ばさずに読むと味が出てきます。プロローグなども親切丁寧だからじっくり味わうべきです。バルザックの小説もそうですが、この序章が後になって思わぬ効果をもたらします。「月芝居」では後でこの場面が重要になるだろうと予測は出来ます。登場人物の心の動きなども、文字裏で作者の思い入れ(こう読み取ってほしい)が伝わってきます。江戸詰の武士たち、片や市井の人々が悪の蔓延る江戸の町で苦労しながらも、めげずに生き抜いてきたか、を北の頭を通して読める作品でした。未読の北 重人の作品はあと一冊「白疾風」かな?北 重人の作品は時代物が好きな人にはお薦めの作品です。是非読んで欲しいものです。

 暮れと正月のプール休みで体がなまってしまったので、久しぶりにプールに出かけた。ゴーグルやパンツを今の内に替えないと支障を来たす恐れがある。パンツは約3000円、ゴーグルは約1500円を用意してある。以前書いたように6ビートが打てない私の脚を諦めました。多分3拍子が苦手なんですね。日本人ですからなんの不自然もないわけです。今年も楽しくゆったりを心掛けて続けます。プールに感謝

  


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2014年01月03日

正月に読んだ



じっと静かに本を読んでいました。予想されるとおりの日々です。正月は何故か時代ものが合っているのと、客もまばらにイラッシャルので、超短編集をとみました、時代物は火消しであった若き広重をもとに作った「泣き菩薩」田牧大和:著 講談社文庫と「5分で読めるひと駅ストーリー:乗車編」とその「々:降車編」このミス編集部編の三冊です。「泣き・・・」は典型的な正義と悪人の戦いで、読後はスッキリ。広重はそのなかで、目を駆使した絵で活躍する。登場人物のキャラクターもまちまちだが、とても胸のすく人物で描かれている。時代物バンザイと叫んでいるような物語でした。気になったのは今更でもないが、私の頭で描いた本の中の背景は、他の人とどんな風に違うのか知りたいと思った。その違いはとても面白いことです。
 「5分・・・乗車編・降車編」は今を時めく作家達がチャレンジした超短編だけど、読者の人が常々感じている事、まさか、もしかしたら、を目の前に提示している。楽しさ満載なので、次々と移っていく作品を車窓のように観ている気がした。夜中を気が付かずに読み通してしまった本でした。軍手の人差し指と親指の先をちょん切って、読んでいます。ユタンポの暖かさにも感謝しました。朝はこのユタンポの湯で髭を剃ります。丁度いい温度になっています。  


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