2015年05月28日

佐藤雅美さとうまさよし です。



「天才絵師と幻の生首」佐藤 雅美:著 講談文庫を藤沢周平ばかりだったので読んだ。やっぱり江戸のシステムの解説は上手です。あーあこういう制度の中での仕事や暮らしが成り立っていたんだという納得。何も知らないで漫然と江戸の時代劇を観ていたことになります。この点で佐藤雅美は大変役に立ちます。それにもまして、この時代に暮らしていた人々の憎悪や歓びの感情が自分の事の様にシンクロしてしまいます。どの時代や背景があろうとも、嬉し悲しいは同じで、エキセントリックな人間は何処にでも発生していたようです。慣れるまで読み続けて下さい面白くなります。半次のシリーズはいい。居眠りも良かったね。  


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2015年05月24日

麦屋町



「麦屋町昼下がり」藤沢周平:著 文春文庫 を三屋に続けて読みました。先日焼津の従妹と同席した機会で、同年の彼が藤沢周平を読んでいました。「夜消える」でした。歳を取ると似てきます。この麦屋町も秀逸です。登場人物達のキャラクターに揺れが無く終わりのどんでん返しがあってもそのキャラクターに破綻が有りません。ちゃんと演出が出来ているんです。当たり前なんでしょうが、これが現代を扱うと非常に難しくなります。読者が混乱しないギリギリの所が大事なんですね。読み返すと破綻していないのが判ります。でもこんな上手さより、主人公の倫理観に何よりも惹かれる訳です。ツバメも舞い、カワズの鳴く音も盛大になってきました。時はいつのまにか夏ですねん。
  


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2015年05月19日

三屋清左衛門残日録



「三屋清左衛門残日録」藤沢周平:著 文春文庫を終えた。今の自分の歳とこの主人公の時代的年齢が似通っている為に、感慨深く読みました。こんなに立派な人間ではないけれど、物事や心理には共鳴することが多だ有りました。自分の弱みは云わないけれど、人の弱みには寄り添う人に成れることが大人なんでしょう。時間が経てば見れてくるものです。しかしながら、時が経てば風化して、洗い流して、そして無。なーだ、い、なーだ。まだもがいてる。  


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2015年05月12日

コールドゲーム



「コールドゲーム」荻原 浩:著 新潮文庫。読むかどうかを迷っていた本。イジメへの復讐と書評やらで読んでいたし、その批評、コメントも芳しいのが少なかったからだ。でも聞くと読むとでは大違いなのだ。多かったのはイジメの側を肯定しているかの様なストーリーだと批評しているが、そんなことが有るわけない。いや、逆にこんな状況をも作り得る問題を提起していると私は思った。それはそれとして、私は面白く読ませてもらった感じである。高校生の年齢の頃の心理状態と、行動にとても同調できるのだ。見て見ぬふり、声を出せない、一人では立ち向かえないから、自分を消しているつもり。無関心を装う。現代を生き抜く最善の方法かもしれないけど、何処かで見られている。その卑怯さをね。たぶん皆同じ。最終的には自分一人でコールドゲームを諦めずに戦うことも大変大事なことです。若い時にはね。  


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2015年05月07日

ネバーランド



「ネバーランド」恩田 陸:著 集英社文庫 です。恩田陸だけど、状況設定の情景を描きにくいSFの苦手な人には読みやすくて良い。名門私立男子高校の寮の冬休み。訳有りの居残り3人と寮に日参する一人と計4人の冬。何故帰らないか、からこの物語の筋が決まっている訳で、もう読み始めた途端に物語は高速回転している。この辺はすごい上手。ちょっと重松が過ぎってしまうけどこれはこれ。勉学では優秀だろう4人が辿ってきた青春までの苦渋の軌跡がどんな未来を踏むのかとても清々しい物語でした。  


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2015年05月05日

「檸檬」なのだ



「檸檬」梶井基次郎:著 新潮文庫 を読んだのだ。滅入りますね。それでなくとも落ち込むことばかりなのに、何故読んでしまったのだろう。何かいいことも浮かぶ?そんなことなど、在る訳無いよナー。非常に文学的なのは読み取れるけど、観念的にしか、表層的にしか読めませんが、何故、どういう事が優れていると具体的に教えて欲しいものです。名著と云われているものには、一般人には読み取れない何か、そういうものがあるんですね。何回も何回も読むことによって会得するのかもしれません。一回読むだけでも大変なのにねーー。無人島に持っていく本には絶対入らないと思います。  


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