2013年06月02日
地震
「大江戸ぐらり」出久根達郎:著 実業の日本社文庫 写真は夜で蛍光灯の明かり。影が不気味です。
副題は安政大地震人情ばなし 安政地震の時の話を拾い集めて、面白おかしく、または人情の暖かさを連作物語にしている。前半はむすめ:おようの話しで、震災後をどんな風に生きていくのかをベタだけれども「それでいいんだ」と思わせる健気な女を創出している。あとの半分はもろもろの市井の人達の面白おかしい地震の時の話である。とくに印象に残ったのは、「いろはにほ」で、へとへとと続く。私だったら違った展開にしていたかもしれない。子供は父の事を知っていたけど、知らないふりをしていた、とかね。でもなかなか話の創り方が旨い。あとがきのようなあとがきもひねりひねりで好きです。
今日の日曜美術館で漱石と日本絵画をやっていた。漱石の美術感が漱石の作品を創り出していると芳賀徹先生はおっしゃっていた。全くそのように読んでいなかった私はなにを読んでいたんだろう。あんなに好きな抱一の「秋草図屏風」も関連づけて読んでいなかったとは、情けないですね。もう一度読み直そう。で、この漱石なんとか展は静岡にも移動してくるらしい。いくぞ!
Posted by 新茶 at 22:00│Comments(2)
この記事へのコメント
やはり漱石、御覧でしたね。以前読んだものが、本当に理解できていなかった事痛感です。読み直しの宿題が増えてしまって困ります。絶対に誰かさんなら、詩人さんをさそって美術館に行くだろうと思って見ていました。わたしも出かけるつもりです。7月13日からのようですね。抱一の月いいですね。秋草もいい。この頃、私のなかで月の存在が大きく、平安時代の人々のようです。地球人にとって月は大切なお友達と思う今日この頃。
Posted by ボントロワイフ at 2013年06月03日 14:13
コメントありがとう。今月号の芸術新潮はこの漱石の眼が特集でした。すごく気に入っていたけどまだ買ってない。漱石の眼には共感せずにはいられないほどです。装丁を見るだけでも世紀末のアールヌーボーもいとも簡単に和で纏め上げています。グラスゴーのマッキントッシュ風でもあります。それと漱石の気に入りの絵にはハッとする構図の絵が多いことです。静岡展ではあの「秋草図屏風」が見られるそうです。抱一の蔦先が見れるんですね。期待しています。ウキウキ
Posted by 新茶
at 2013年06月03日 16:10
