2014年03月16日
アトポス
「アトポス」島田荘司:著 講談社文庫 978頁の文庫本でした。世にも恐ろしい中世ヨーロッパのお姫様の話とビバリーヒルズの血で血を洗う連続殺人事件前編(3/4)の後、最期の事件現場に暗闇坂で登場した御手洗探偵が登場。いとも簡単に解決。読み終わってあーすっきり。島田荘司の2編はスローモーションのように丹念に描写されて濃密な時間を読者に与える。一つのシーンを漏らすことなく読まないと、あとで納得出来なくなるのが怖いから、休むことなく読み続けてしまうのだ。これも怖い事です。怖いと云えば全編を覆う血の惨劇です。中世の吸血鬼の話から、死海のほとりの撮影現場まで延々と繰り広げられます。がしかしこれで怯んでいてはミステリーは面白くないのです。御手洗の登場やモスクと舞台、そして患者達に多少の違和感を感じても、素通りしましょう。事件の一つ一つを整理してゆけば必ずや糸口が見えてくるのです。なんちゃって、全然見えませんでした。もしかすると?っていうのが徐々に開示されるんですね。これでいいんです。因みにアトポスとはアトピーの症状を指すみたいです。
Posted by 新茶 at 09:33│Comments(0)