2015年10月11日

宿神1,2

宿神1,2

「宿神1,2」夢枕 獏:著 朝日文庫
ようやく2が終わりました。待賢門院璋子様がお亡くなりになる処までです。辻邦生の西行花伝とは違う人物描写で非常に心を揺すられます。先に夢枕のほうを読むのが良いのかもしれません、なんとなくだけどね。いや、先に辻を読んでいたからこそ、夢枕の面白さも味わえるのだなと思う。時代が平安から鎌倉へと移りゆく頃、貴族や皇族が策略陰謀の渦の中で、安穏としていられなくなり、武家が力で持って台頭する兆しが芽吹きはじめる頃です。正にその頃の都を担っていた清盛と西行の舞台を描いています。この辺はNHKの清盛です。歌の文化にスポーツの文化、心から肉体へと移る過程でもあり、日本のルネッサンスが始まろうとしていた時期です。武家社会が遠くからジワジワとしのびよる前日でもあります。市民社会まだまだホント遠いんだ。物の怪まで登場する夢枕の西行はじつに劇画的であり、擬音やエフェクターをまき散らしながら、感情のどしゃ降りの雨でもあります。これもまさしく獏的です。その点で辻の西行は極めて純文学的叙事詩であり、気品が香る西行でした。まだほんの出だしだけどね。書かずにはいられないほど面白い作品です。 こらから3です。表紙がすごくいいです。鴫立つ沢の秋の夕暮れがでてきました。
 今朝の日曜美術館の五姓田義松の「老母図」はすごかった。私も母を思い出して泣いてしまいました。まさしくあの図でした。ゴッホを先んじていました。あの時代にしての鉛筆画も唸ってしまいました。
 



Posted by 新茶 at 17:15│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
宿神1,2
    コメント(0)