2017年04月26日
菊池寛
「菊池寛」ちくま日本文学全集 筑摩書房
安野光雅の表紙。花札のボウズ。目次の最初が「勝負事」。もうほんとに的確な読者の気持ちの操り方です。ドラマの典型。どの編も面白くてうーんと唸る。あとがきの井上ひさしのいう涙の谷の根なし草の心はいとも簡単にこの作家の話術に絡み取られてしまい、寸時もおしまず本を携えてしまうのです。芥川の哲学的に比べれば下賤ではあるけれど、ここにはここの、崇高な動物的人情も映し出されているように思いました。恩讐の彼方に、父帰るはたしかに面白い!
Posted by 新茶 at 14:32│Comments(0)