2012年08月29日
「誘拐児」翔田 寛
昭和21年と昭和36年の事件。誘拐されて生き延びて、そして如何にしてそんな過去を振り返ればいいのか。母と子。本当に誘拐児なのか。このテーマが全てである。過去は消し去ることが出来ないのだ、消したつもりでもいつの日かフッと甦るのだ。現在起きている全ての行為や現象は全て未来への原因と過去の結果であり、このチェーンから逃れる事は誰も出来ない。でも絆とか心の繋がりはそれを超えることが出来る。場面が二つの時代に切り替わるが登場人物のキャラが明確なので、展開がスムースである。というか上手です。時代的には清張なんだけど、余韻はすてきだ。第54回(2008)江戸川乱歩賞どすえ。読みは ショウダ カン
「何故読んだ本とかを披歴するの、自慢してるの?」って聞かれたけど、「ハイ そうです。そのとおりです」と答えておきました。私の軟弱な心理を突きたかったのでしょう。でもこの程度の攻撃は歓迎しちゃいます。コミュニケーションというものを仕掛けてきてくれたんだから。コミュニケーションの下地となるものが縁ですね。
Posted by 新茶 at 10:38│Comments(0)