2014年07月08日
再読:赤ひげ
「赤ひげ診療譚」山本周五郎:著 新潮文庫 を再読。前回「お腹召しませ」を再読したので、赤ひげも読んでみた。昔読んだ感想とは違い各部をくっきり思い描けたように思える。八編の連作で主人公の保本登が過酷な経験を積んで成長していき、その先は師である新出去定(赤ひげ)であろうことが読み取れる。この八編の事件の提示だけでこの保本の経験を描いている、もっと膨らませたり、数々の事件を織り込むのも可能なのに、八編で結んでいるところがきっぱりしている。ところでこの物語は江戸時代の医療機関の医師を描いているのだけれど、医師という仕事がデジタルでなくて、リアルなアナログであることも語っている。実際の仕事はデジタルがどんなに進歩しても、まさしくアナログであり、人間の感情や肉体と向き合わなければ解決しない仕事だってことです。どんな仕事もこのアナログに対処出来なければ一つも進まないことです。もともと私は医師になれる資質は持ち合わせていないのですが、病気の肉体や、血、排泄物等と直接に向き合わなくて良かったと思っています。強靭な精神と頑強な肉体を要求されるんですね。医療はアナログの極限です。この本を読んで医者って本当にエライナーと思いました。看護士さんも同じですね。表紙は安野光雅でした。人の形で解りますね。
Posted by 新茶 at
21:15
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