2013年05月20日

荻原 浩



「さよなら そして こんにちは」荻原浩:著 光文社

短編集で、荻原浩の長編のベースともとれる短編集。現代の風潮を揶揄して、ウーンそうだよねっと思うのは私だけ?じゃないと思う。風潮や空気の色合いは誰が決めたものでは無いけれど。それを信じてしまう愚かさにペーソスを交えながら喝を入れている。この空気こそが現代の病の一つなのだ。まき散らしているのはテレビ。あーおそろしや、おそろしや。長編を読んでみると、短編の物足りなさが見えてくるのだけれど、短編集はパレットみたいに作家の引き出しを楽しむことが出来る。表紙のデザインは鈴木一成でとってもいい!
 昨日、母が肺炎で再入院。急激に体温の上昇があり、救急車で病院に搬送。免疫機能は最下層まで落ちているから、抗生剤の注入のみが命の糧。これでもか!って程に小さく衰弱した母でも生きている。
 短編集の冒頭が葬儀社の話。色んな人が色んな思いで、葬儀に立ち会っていることが見えた。しみじみ納得した物語であった。この短編集の中には「愛しの座敷わらし」のベースなのもあるよ。

  


Posted by 新茶 at 16:43Comments(2)