2014年12月18日

歌野晶午



「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午:著 文春文庫 を終わった。楽しかったし、どんどん進めたのだが、最期のどんでん返しがイマイチです。もっと違う結末を読者はみせて欲しいんじゃないか、普通のを。でもこれも有りです。上手いからこの手法でも行けたけれど、ギリギリの綱渡り的構成です。設定も有るわけないけど、面白いんじゃないかって思うし、もっとこの設定で書いて欲しい気もするが、やらないでしょう。そういう作家では無い様な気がする。上手過ぎると、ポピュラーな読者に不親切になるんだよね。お願いだから置いていかないでくれー。



「狂言七十番」田口和夫:編 勉誠出版 を開いてる途中、というか、あちこちをつまみ食いをしているのだ。太郎冠者、次郎冠者は漫才です。笑いの古典は形式美も備えているんだ。これを当たり前と思うこともスゴイのだ。日本の笑いにはふかーい意味があって、言葉と形に転化した倫理観がみえてきます。下品の一歩手前での美学を芸術にまで高めるのです。日本人ってすごいですねー。この本には典型的な演目がズラリと紹介されているので、是非観たり読んだりしてください。嵌ります。  


Posted by 新茶 at 15:47Comments(0)