2013年09月27日
縮尻しくじり
「浜町河岸の生き神様」<縮尻鏡三郎>シリーズ 佐藤雅美:著 私にとって佐藤雅美の縮尻は2冊目です。綿密で完璧な江戸の時代考証が読む側をリアリティーに江戸時代に誘います。また縮尻つまり、しくじりで役を降格させられた武士が諦念を腹に据えながらも、ユーモアを交えて淡々と暮らすことの大事さを伝えてくれるのだ。取り調べや相談事への仕事に対して素直に且つ真面目?いや、いい加減に対処しながらも実は思いやりの溢れる人間味を鏡三郎が演じている。強烈、インパクトを期待する向きには物足りないかもしれないが、この展開の仕方が佐藤雅美らしさだと思う。他のシリーズではそのようなのも有るのかもしれないが、劇的なんぞ巷に転がっている筈もないだろうからこれで良くて、これが佐藤のリアリティーなんでしょう。ジーンと味わい深い連作短編集であることでは間違いない。それにしても武士の名前に付く肩書きは面倒臭いことこの上ない。
Posted by 新茶 at
12:03
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