2013年10月17日
へんな山口晃
「ヘンな日本美術史」山口晃:著 祥伝社
静岡新聞に現在連載されている「親鸞」の絵を描いている山口晃の日本美術への見方を紹介した本です。ものを見る事と手で絵を描くことの意味。写実と現実と透視図法と二次元の絵ということ。もうなんども頷きながらも、頭を傾げながらも、読んでいました。でもフッと頭を過るのは、現在の親鸞のカット絵でした。鳥獣戯画から川村清雄(知らなかった)までを山口氏の画く側からの肉声を聞くように読めましたし、違う角度からの日本美術の見方に気付かされました。入門編では橋本治の「ひらがな日本美術史」がとても面白いのですが、ちょっと触ったことのある人は山口晃も読んで欲しいものです。各章の中で気付いたことや、大事な事だなって思ったことは多だあるのだが、それを始めると多分終わらない。建築のことも出てくるがいい加減でないし、説得力もある(法隆寺に関して)。コンドルの師の暁斎も登場するのだ。今迄この絵のどこがいいのか判らない?って思ってた幾つもの絵がアーそういう事なんだ、って興味を深めたのが嬉しいことですね。絵は感じればいい、ただそれだけでもなくて、それなりに理解する知識や努力も必要なんですね。下の写真は連載中のカット絵ですが、正に山口流に人間が表情豊かに色んな角度から書かれています。自由自在な筆。しかしながら日本画と油絵は螺旋模様なんだろうか。
追補:新潮社の「考える人」で小林秀雄賞の授賞式の記事が載っています。
Posted by 新茶 at
14:57
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