2017年10月04日
アキハバラ
「アキハバラ」今野 敏:著 中公文庫
碓氷のシリーズ2弾。もう読むのが少なくなってきた今野だけどまだまだ有る。このアキハバラはドタバタの連続で息を持つかせず終わりまで一機である。ある田舎モンが起こすつまらない事件が、いろいろ絡まってスパイやらやくざ、ねーちゃん、店員、店長、ロシアマフィア、そして警察警官なにがなんだかわからなくなるかと思えば、解るのである。それは、今野の腕です。時系列を乱さない、アナログを大事にするからあとで、あーだったじゃないなんて手法は撮らない。誰がどういう行動言動かが見える。これは大事なことで、文章とはこいうことを指すんだと思いました。そうです、小説はアナログの極致なんです。そして通奏低音は情感なんですね、ヒューマニズムなんちゃって。次はパラレル。米澤穂信「いまさら・・・」がまだだ。
Posted by 新茶 at
17:09
│Comments(0)
2017年10月01日
クローズアップ
「クローズアップ」今野 敏:著 集英社文庫
引き続き布施の暴力団と議員を追う取材。テレビのスクープが持ち味だと云っているが、新聞でも構わない、要するに記者。どんな時でも怯まない。上司だろうが、組長だろうが、議員だとて、が、黒田にはちょっと違う。このコンビは出来過ぎ。この二人の人間性は皆目不明なところがいいのか、ダメなのか解からない。
このごろの政治家が判らない。ポリシーが無いのか政策がないのか、バカなのか、日和見なのか、なにをして市民に対して役に立とうとしているのか、政治学とは?トランプやジョンウンもそうだ。政治家って要らない?行政だけで済んでしまうのか?それに政治記者もコメンテーターも肝心要の政治については私利私欲と金と力しか語れない。この船はどこへ流れてゆくのか誰も知らない。フワフワとこんな愚痴を書いても、しょうがないって解かっているんだけれど。みんな諦めているね。ほっとている、放り投げて手元の成すべきことだけをして、遠くは観ていない。
Posted by 新茶 at
10:56
│Comments(0)
2017年09月30日
今野をまた
「スクープ」今野 敏:著 集英社文庫
自然科学の間にこの今野を入れました。典型的な人間たちが、典型的な背景で、典型的に行動します。だけどテレビとおなじ(黄門様)なんだけどもっとずーっと面白いんです。読んでみなけりゃ判らない。この設定では、この登場人物でなければ、とか読者が自然に要求している人間が要求している風に振る舞うんですね。読者は今野に読まれている。今野を読む読者はこんな人間が好きなんだ。まあ気持ちよく操られているんですね。操られの快感です。こんなことはあり得なくても3人(布施、黒田、持田)は何処かに居るかもね。いま「クローズアップ」です。
Posted by 新茶 at
07:47
│Comments(0)
2017年09月21日
ばった
「バッタを倒しにアフリカへ」前野ウルド浩太郎:著
このところ恐竜、昆虫やら地球の自然科学のブームに押し流されて、ミーハーになっています。何が面白いのか解らないけど「へー!」っていうのが多くて、いままで何を学んできたんだろうっていうのが、実感です。この宇宙、地球の不思議さと自分の命の儚さがとても意味あるものに感じられます。小さな虫、草そして水。地球って奇跡なんだと、そしてこの宇宙に同じ地球は無い。諦めずに来年も咲きましょう。但しこの本からはバッタの生物学的記述は読めませんから、兎に角アフリカでの悪戦苦闘のドタバタを他者のケガを思う存分たのしんで、涙してください。京大白眉は鼻の奥にツンときます。
「古生物たちの不思議な世界」土屋 健:著 田中源吾:協力
ついでにとは失礼なんだけど、恐竜の前の生物たちに触手が動きました。スピッツの歌にオパビニアっていうのが出てきて、なんじゃいそれはっていうことでWIKしたらこの古生物だったんですね。この時期の生物たちの未完成じみた滑稽さに驚いて仕舞いました。中生代の前の古生代の紀、カンブリア紀等の名前が面白ですね。なぜこんな瀬物に進化、変化したんだろう。つまり、この人間という生物も後の時代になれば滑稽さに笑われるほどの生物かもしれません。化石をみたら笑っちゃうかな?でもあと、百万年くらいで滅亡らしいね。盛者必衰の理を表す、つーこと。
そろそろ、頑固な刑事ものも読みたくなりました。森見、米澤、川上、本川、丸山さんを読むって今的なんです。
Posted by 新茶 at
08:54
│Comments(0)
2017年09月15日
ほのぶ
「真実の10メートル手前」米澤穂信:著 東京創元社
太刀洗記者の短編集、6編、10メートル手前で察すること、行き過ぎた正義、心中の形?何が名誉、先走りの優しさ、極限の人間、等が語られている。日常に潜む感情と極限での感情の溶け合わない存在、思いが及ばないもどかしさ、普通は存在していない日常、存在しているかの共同幻想。言うべきこと、言わなくてもいいこと、言いたいこと、これが全てです。ほのぶはずばずばと太刀洗記者を使って、なるほどと読者に頷かせます。つまらないミステリーは言うべきことを言わないでおいて物語にしてしまっているのが多すぎます。あそこでチョコと一言言っておけばこんなことにはならなかったってのはミステリーではない。
Posted by 新茶 at
08:08
│Comments(0)
2017年09月11日
アルチンボルトと谷口
芸術新潮の7月号がアルチンボルトの特集なんだけど、谷口も組んである。ハプスブルグ家、神聖ローマ帝国故のアルチンボルトなんだけど、このハプスブルグの時代が世界史及び世界というか地球グローバルの原点なんだとつくづく思います。世界とはこんなもんだぜと博物館を作って、収集して、見せびらかして喜んで、世界を征服したと喜び、4大元素とかいって世の摂理まで習得したかの思い上がりの絵なんです。しかしですね、この博物的学術も捨てたもんじゃなくって、後の吾らの役に立っているんですね。面白いことです。無駄と言えば大いなる無駄でした。歴史は繰り返します。絵そのものには全然惹かれません。惹かれるのはこの谷口やBD,メビウスですね。もうたまらなく色彩や線に魅了されます。AKIRAの大友もジブリも惹かれますが、重力のない、時間の止まった景色のメビウスには幻想の極みが見えます。若いときから今まで、これを追い続けているかもしれないな。
岡部本陣なんです。
Posted by 新茶 at
11:05
│Comments(0)
2017年08月23日
それでも、警官は微笑う
「それでも、警官は微笑う」日明 恩:著 kodansha novels
再読です。でも、途中で気が付いたんです。2ページ目です。でも今野敏が出てきたのは今回気が付いた訳です。他にも何処かの小説の刑事の名前が出てきています。おぼっちゃま潮崎だから良いとします。というわけだが、たしかに面白い。次回作と続いてほしいものです。刑事ものは続かないと消化不良と欲求不満が募ります。この著者の名前の読みは たちもり めぐみ だってさ。そんで女性 表紙は極めて優れたデザインです。
Posted by 新茶 at
15:40
│Comments(0)
2017年08月16日
「昆虫こわい」
「昆虫こわい」丸山宗利:著 幻冬舎
饅頭こわいからのもじりで、昆虫学者の悪戦苦闘の記録です。読者の日常的感覚からの視点も忘れずに、また学者のすべきこともコツコツとやるあたり、たいしたものです。文の端はしに滲み出る虫への思いは読んでいて、虫の学者でもない自分も昆虫に引きつけられて、野山に出かけたくなります。でもね、農家の生まれの私は野良仕事が大嫌いでした。今でも蚊や蛇、ムカデは寒気がします。それにしても、自然科学は面白いんですね。ラジオの子供電話科学相談も面白かったです、聞いてしまいました。
竜の髭の刈込を終えました。草刈り機を使わずに切れない剪定ばさみを駆使して、どうにか様になりました。がしかし、芝が伸び放題。草取りをするところがまだまだ有るのだ。一年中こんなことばっかり言っている。
自治会の精霊流しの設営と片づけも終えて、今年最後の送り火を夕刻に焚こうと思います。亡くなったおじさんの遺品の鉈で松明を細く細かく刻むことが出来ました。きれい火が着きます。盆が終われば、この蒸し暑い夏も過ぎていつかは秋に変わるのでしょう。そんな風にして齢を取るのだ。
Posted by 新茶 at
11:57
│Comments(0)
2017年08月13日
笑う警官
「笑う警官」佐々木譲:著 角川春樹事務所
バッタを倒しに・・・とか昆虫・・・が図書館に有るか否かを探りに行ったら、この本が眼に入ったので、読んでしまいました。バッタは予約。こわいは買ってしまいました。買ったり借りたりの選択は論拠が有りませぬ。その場の思いつきで決定。今、「こわい」を読んでいます。
「笑う」は随分とテレビ風に書かれていて、アメリカの刑事風でもあり、面白いことこの上ナシです。こんなうまくいく筈ないじゃんと独り言を言ってしまうでしょう。登場人物のキャラもドラマ仕立てでなかなか壺を抑えています。読んだら読んだ人同士で語りたくなるストーリーでした。わが家にはそんな人は居ませぬ。
芝生の中に侵入してきた「竜の髭」が拡がってしまい、花も咲き始め我世を謳歌し始めそうなので、刈ることにした。草刈り機をもたないわが家では、剪定ばさみと鎌で刈るのである。夏の日が天空から傾いて日陰になったときに、蚊除けの器具を3つ着けて、長そでのシャツと麦わら帽子で覚悟を決めて、刈り始めます。なかなか進まないのが私流。でも何時かは終わる筈。でも芝生に砂を撒いてやらないと段々地面が下がってきた。芝生は手がかかります。
昨日盆棚を造りました。今日和尚さんが近所を回ってお経を上げに来ます。迎え火も焚きます。暑くて滅入ってしまい、諦めの境地でもありますが、今彼方へ行ってしまっては、父と母がまだ早い、戻れと叱りそうなので、まだ生きます。軟弱なんです。北と米はどう始末するんだろう。日本の軟弱さはこれまたオリジナルでもあります。共和国は無理な人種というのが今になって判ってきました。いいこともあるのかもしれません。
Posted by 新茶 at
10:55
│Comments(0)
2017年08月01日
虫
「虫のすみか」小松 貴:著 ベレ出版
虫と云えば小松さん。「考える人」のメール版も面白い。虫は自分の寝床、すみかを自分で作る。変則もあるけど、ヤドカリの様にね。僕たち人間は大体他人の専門職に造ってもらうし、それにお金を払う。これを社会とよぶのでしょうか?で、全く同じものが無い。これは大事なことです。虫でも人間でも、共同住宅でも、住み方が違うのだ。虫たちはもっと違っていて地球を変えないで棲んでいる。人間だけです、石油化学の製品でくるまれた建築?いや建築って人間が作った物を指すんだね。すみかをみれば虫が判って、建築をみればそれを利用している人間達が見えてくる。だから中身なんてものは王様の裸ってことだね。塀なんぞたかが知れてる。隠したって見えてる。棲家の穴に蓋をするのもいるけどね。一生懸命に巣を作っている虫は、毒虫でさえ健気です。地球上の生物って本当にエライ!地球から見れば毒虫は人間だね。アラブあたりからアスファルトを持ってきて、地面に蓋をしちゃうんだからね。あーあ。
そんで先程の「Webでも考える人」が面白くて紹介します。小松貴の「裏山の奇人」、飯間浩明の「分け入っても、分け入っても日本語」、岡ノ谷一夫の「おかぽん先生の青春期」入江敦彦の「御つくりおき」が今読んでいるコラムです。読めたら読んで下さい。きっとなんか嬉しい読後の幸せを味わえます。バッタを読む?
Posted by 新茶 at
10:01
│Comments(0)