2013年08月30日
「一鬼夜行」
「一鬼夜行」小松エメル:著 ポプラ文庫
明治初頭の妖怪と武士崩れの道具屋のせめぎ合い。なにをせめぎ合う?という所がテーマであるわけで、空威張りです。妖怪も人間も温情には弱い。これがテーマです。こう簡単に言ってしまうと詰まらないのだけれど、この空威張りの丁々発止が剃刀の刃のように鋭利であったりもするのでなかなかスリルがあるのです。妖怪を扱う京極もネチネチと人の心の裏側を暴き出したりで、長距離を走ったりした快感をあたえてくれますが、このエメルという人も違う角度で何かを暴き出します。人間のやさしさですね。
AKTさんがまた、大量に本を置いて行ってくれました。京極も一力も乱歩集も入っています。ワクワクと胸が躍るダンボール箱です。本を読む間はごちゃごちゃに絡んだ現を忘れて戯言に遊んでみます。毎日暑くて適いませんが、少しづつ秋の気配を感じるようです。秋歌(大江千里)の季節です。「知らない声に胸がおどる、」ってとこに胸が躍る私です。
Posted by 新茶 at
09:49
│Comments(2)