2015年09月12日

鳳凰の巻



「陰陽師 鳳凰の巻」夢枕 獏:著 文春文庫
事件がこれでもか?というくらいに湧いて出てくるのだけれど、これも道萬の仕業であり戯言で悪戯である。フィクションで情景を描いて、作者はこう描こうとしたんだろうなと思いながら勝手に絵を描いているけど、実際のこの時代の衛生的環境はとてもじゃないけど今の我々には耐えられないんだろうね。匂いがね。昭和20年代生まれの私もこの無菌の環境に慣れ親しんでしまったのだけれど、これはヤバイ。これも科学の恩恵か?
 中国(唐)からの呪術が溢れだしてきたけれど、元々日本にはあちらの物の怪など居た筈もなく、宗教に付随してきた輸入品だから三者的に眺めていれば良い筈なんだけど、このオドロオドロした時間や匂いはハリボテとはいえ、なかなかのものです。物の怪を使って清明にここまで光を当てて、ヒーローに仕立て上げたのも流石の獏です。でもね、まだまだ続くんです。次に控えしは「生成り姫」なんだって。買ってあるのだ。獏の西行も読みたいと思っています。
 
   


Posted by 新茶 at 08:12Comments(0)