2013年07月05日

山本 兼一



「ええもん ひとつ」山本兼一:著 文春文庫
時代は幕末の京都。骨董屋「とびきり屋」を営む夫婦の話し。作者は「利休にたずねよ」の山本兼一です。時代を経た日本文化(香道、茶道、日本画、陶磁器など多岐に渡っていて垂涎どすえ)が骨董の世界を背景にしながら、世情(桂、坂本、芹沢が登場)を切り抜ける心温まる夫婦を描いています。山本氏の作品には和紙の様な肌合いを感じます。徹底的な悲しみや苦悩も、この薄くても安易には破れないヒューマニズムが見えます。過激や派手さは表にはみえないけど、ストーリ-には綱渡りの場面があるけど誇張しないから、気が付かないのかもしれません。いい夫婦の物語です。巻末の解説は杉本博司です。氏の日本文化への思いが読めて何故か納得。「千両花嫁」も読みたい。


 
静岡新聞「親鸞」五木寛之の山口晃のカット絵です。しつこい、かな?みて判るようにペン、筆、鉛筆とそれらの特異性を生かしながら適格なアングルで描きます。ペンでは、くっきりした輪郭を取りながらも、重なった衣服の襞の柔らかさや草木の重なりを見ることが出来ます。なんて上手に書くんだろう。としか言えません。筆画に入れた色や薄墨もいいね。まだシツコク書くつもりなのだ。  


Posted by 新茶 at 10:13Comments(0)