2013年07月13日

あさのあつこ



「弥勒の月」あさのあつこ:著 光文社文庫
主人公が三人の時代劇。トリオですね。この三人の気配の絡みが絶妙に面白い。気配のやり取りを文字で読者に伝えるなんてことは、たいへんだよー。素人からすると、あさのあつこさんってすごーいです。最初からピリピリさせて最後まで息を止めてるかのような暗闇を連想させます。でも何故か恐怖では無いのだ、そこが不思議。何処かに達悦した優しさが垣間見える、本当に微かなんだけど。
 同心、岡っ引き、店主が絡み合った殺人事件を互いに腹の探り合い、本音を暴き出そうと、丁々発止するうちに事件の核心に到達して行きます。自由という概念の狭い時代に何が生きる糧なのか、未来や希望を如何にして持ち続けていられたのか。今に時代だからこんなことを言えるけど、祖先たちがそういう時代世界で生き続けたことは尊敬に値すると思う。でもひとの心は変わっていないと思う。
 昨夜蚊、に刺されて思いっきり叩き潰したんだけど、あの小さなスケールに生命維持装置がびっしり詰まっていて。ましてや、空を飛ぶというとんでもない機能までもが備わっている、人間なんかが創り出せない高度の世界が太古の時代から続いていることに気が付きました。人間の科学的世界も眼を見張る程進歩したのだろうけど、自然界も進化しているんだね。不思議です。自然界にあるものは創り出せません。
 次の「夜叉桜」も手元にあるのだ。いいだろー。  


Posted by 新茶 at 09:44Comments(2)