2012年07月05日

坂木 司「動物園の鳥」とレスピーギ



このシリーズ最後の「動物園の鳥」だ。「青空の卵」「仔羊の巣」両署に引き続き引き籠りだった鳥井が、猫の虐待の謎を解くのが表向きのストーリーなのだが、鳥井に常に寄り添う坂木や、登場人物それぞれの心の闇が如何にして解かれて、その人の糧になってゆくのかが本筋。前2冊に比べて言葉の重みがある。いや前2冊にも在ったのだろうが、読んでいなかったのかもしれない。脆弱な現代の若者を描いただけ、と切り捨てられない脆弱で若くない私がいる。著者:坂木 司の云う「青臭い熱」があふれていて、「安易な道になんか流されてやるもんか」この言葉につきます。・・・脆弱ではないのかも。



脆弱とは関係ないが今朝、レスピ-ギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」を聴いています。中世の音楽をレスピーギがオーケストレーションを駆使して、感傷的な主題のメロディーを損なわずに、中世を雄大な景色に変えています。シチリアーナはどこかで(映画音楽で)聞いたことがあると思うよ。サン・ジミニアーノの夕景を目に浮かべてごらん。聴きたいけど買う程欲しいわけではないと思われるDISCだね。でもイメージに浸るために有る。やっぱり脆弱。
  


Posted by 新茶 at 10:39Comments(5)