2012年07月21日
傍聞き:長岡弘樹
今日2度目ですが、あんまりいい本だったのっで書いちゃいます。
「傍聞き」長岡弘樹、双葉文庫。読んでない人はすぐに読んで欲しい本です。いい本なので、ゆっくり味わってください。短編4編です。全てが「なーるほど」って頷けるし、心の片隅にジワーと真っ当な心が甦ってきます。短編なのに、詰まっていることが一杯あり、一つの短編で長編も可能なくらい濃密です。それに、何の気なしに読んでいた些細な行動も後になって大きな意味を含んでいたことが解ります。しかし原点は、ヒューマニズムと読みました。ヘンテコに見える行動の裏側には、必ずしや、理由がある。それも純真無垢な一図な思いやり。ほんとに上手としか言いようの無い書き手です。
Posted by 新茶 at
17:10
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2012年07月21日
ロマンス:柳 広司
以前に書いたことのある柳広司。今回の「ロマンス」もレトロな時代を背景にした、恋物語をミステリーに仕立てています。戦時下のはっきりした背景が事件を明確に組み立てることを可能にしている。現代物は心理状況が煩雑になりがちで、読む側には毅然とした判断力が求められます。時代劇物もレトロと同じことが言えるのかもしれない。しかしこの「ロマンス」はそれを背景にしながらも、ユニークな登場人物とユニークな恋物語で稀にみるミステリーの範疇を作っている思いました。柳は気品を醸し出すなにかがある、それは華族以外の市井の人物を描いても、である。
Posted by 新茶 at
10:44
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