2012年07月12日

雨で憂鬱


松本清張(中)を読んだ。この清張の面白さは、動機って書いたけど、人の万人の心理を知り抜いていることだろうと思いました。自分だけにしかこの気持ちはないだろうと思っている邪悪なバカげた気持ちを、皆だれしも持ち歩いているってこと。読まれていないだろうと思っていることも他人にはお見通し、それが書かれているから、気が重たくなって中断してしまったりする。逆にそれが面白みになるのだ。解った風だねえ。でも何故あの時あんな行動をしたんだろうっていうのが、いつもの感想だけど、多少事件の展開が読めているから言えるんだ。自分の行動はなんてバカなんだろうと思うことばかりなのにね。愚行の人生。訂正不能の人生。
 大津のイジメは少し進展していますが、まだわかりませんよ。知ってるけど隠蔽(シランフリ)は戦後の日本の恥ずかしい術ですから。えせ民主主義もこれがなくっちゃここまで生き延びられなかったんです。シランフリの亡霊はまだまだ成長するかもよ。現実の怖さに比べたら清張の語る悲劇も物語、故に読めるのだ。
 梅雨時は風情が無くなったね。ツバメも道路を低空飛行しても、車にぶち当たって、雨に晒されてせつないね。憂鬱を振り払える何か笑えるものを探します。  


Posted by 新茶 at 09:17Comments(3)

2012年07月09日

本の合間


今、清張を読んでいる。ので中世音楽の紹介どす。左上:VITA NOVAの ancient fowers「中世の花」 グリーン・スリーブス、スカボロ・フェアなんかが入っているが立派に古楽として演奏されていて美しい、というより原曲は古楽ですねん。録音が悪いのか、楽器がこのような響きなのか、聞き取れる耳ではないのであるが、稚拙な音に聞こえる時があります↗。日本人の演奏だけどすばらしい音楽に仕上げている。右上:Concert Novaの Les Bouffons「道化師たち」は多くの古楽器をとっかえひっかえ何でも御座れとヨーロッパの中世を目の前で演奏してくれる。28曲もあるが古楽ファンならご存知の曲ばかりである。それにしても上手い(他のグループとの違いは楽器しか解らない)。左下:UAKTIのTrllobyte「三葉虫」中世音楽ではないけど古楽はミニマルなので、入れちゃう。いぜんにも紹介したウアクチですが、これまた地球規模、なんちゃって古代です。まあそんな感じで聞けば聞こえなくもないです。サウダージ(南米の哀愁とでも訳すのかな)を宇宙に放つ。自分でもよく出鱈目がうかんでくるな、って思う。まだシュールには程遠い。右下:CATHERINAの Ductia「ドゥクチア」 中世音楽はルネッサンス期の音楽と思えば解りやすいかも。単旋律の楽譜しかないので、各グループは其々自由にアレンジして、自分たちの音楽を作っている。そこがいいのだ。歌謡曲風にも出来るし、ロック風にもできるが、そこでそのグループの真価が問われるのだ。落語に近い。面白いだろー(スギチャン風に)
この類のCDは、廃版が多いので聞きたかったら当事務所に{おいでませ(萩風)}  


Posted by 新茶 at 13:37Comments(0)

2012年07月08日

ブルータスと若者たち


近頃のブルータスを借りてきました。この様な雑誌を読んでいるとつくづく時代の変化を感じます。スマホの時代ですがそれとともに何かが次第に変わって気が付けば、自分も家族もその波の中で浮かんでいる。ユビキタスの時代か?
 右の表紙は仕事の領域なるものをを自分で作る、オリジナルな仕事を作る人達。左の表紙はデザインの領域を拡大している様を知らせている。自由なるものを広げている世代を見せられた。若い人達のチャレンジは応援したくなります。でも息子のことになるとブレーキを掛けちゃうんだけど本人は、そんなことお構いなし。羽ばたけるかな?
 大津のイジメのニュースを見ていると若い人の世界も自由と引き換えに失ったものも確かにある。我々の世代の負の遺産(保身)である。チャレンジを諦めて、少しでも怠惰に暮らそうとしたツケが若い人達に回ってきている。歳を取るとテンションの糸が切れるんです。学生運動をした人も懺悔無で、難なく退職して、人生を肯定するんです。世の常なんでしょうか。時代は変わる。
 今から浅井忠を日曜美術館でやる。正座して観るのだ。   


Posted by 新茶 at 08:25Comments(3)

2012年07月05日

坂木 司「動物園の鳥」とレスピーギ



このシリーズ最後の「動物園の鳥」だ。「青空の卵」「仔羊の巣」両署に引き続き引き籠りだった鳥井が、猫の虐待の謎を解くのが表向きのストーリーなのだが、鳥井に常に寄り添う坂木や、登場人物それぞれの心の闇が如何にして解かれて、その人の糧になってゆくのかが本筋。前2冊に比べて言葉の重みがある。いや前2冊にも在ったのだろうが、読んでいなかったのかもしれない。脆弱な現代の若者を描いただけ、と切り捨てられない脆弱で若くない私がいる。著者:坂木 司の云う「青臭い熱」があふれていて、「安易な道になんか流されてやるもんか」この言葉につきます。・・・脆弱ではないのかも。



脆弱とは関係ないが今朝、レスピ-ギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」を聴いています。中世の音楽をレスピーギがオーケストレーションを駆使して、感傷的な主題のメロディーを損なわずに、中世を雄大な景色に変えています。シチリアーナはどこかで(映画音楽で)聞いたことがあると思うよ。サン・ジミニアーノの夕景を目に浮かべてごらん。聴きたいけど買う程欲しいわけではないと思われるDISCだね。でもイメージに浸るために有る。やっぱり脆弱。
  


Posted by 新茶 at 10:39Comments(5)

2012年07月01日

坂木 司「仔羊の巣」


以前書いたのは「青空の卵」。二弾目がこれ「仔羊の巣」。同じ登場人物の連作。主人公の坂木の友人の鳥井(ひきこもり)がちょっとした日常の事件(殺人とか強盗だとかではない)を推理する。つまらないようで、非常に興味ある心理学をコミュニケーションを駆使しながら解決していく。現代の歪んだコミュニケーションが創り出した事件は常識的な心理学では解けないし、歪んだ心理学でも解けない。思いやりしかない、簡単な答だけどこれが非常に難しい。三作目もある。  


Posted by 新茶 at 17:00Comments(0)